粉飾決算と経営コンサルタントの財務分析

財務分析の教科書や研修では棚卸し資産回転率やら長期時系列推移やら色んな指標分析の手法を習います。
一方、私のような経営コンサルタントの現場では社長や担当者に単刀直入に聞いてしまいます。曰く、棚卸し資産の中身は何ですか?仕掛品の中身は何ですか?売掛金の中身は何ですか?といった調子です。
真っ直ぐに聞かれて、シラを切り通す人はまず居ません。ある程度の直感と仮説を持って、少し掘り下げて質問すれば、大体様子はわかってしまいます。核心に到達すれば、お互いじっと顔を見合わせて、おしまいです。傷に塩を塗るようなまねはしません。
先日も、30期目を迎えられるシステム開発会社で多額の粉飾に直面しました。難しい分析をしたわけでも、手間のかかる調査をしたわけでもありません。単刀直入に質問を重ねただけです。
新聞紙上で粉飾決算が話題になることがありますが、分析の本質は変わらないと思います。少し古い話ですが東芝さんの粉飾決算でも、見るべき人がある程度の直感と仮説を持って、然るべき人に質問していけば簡単にわかった話だと思います。